ドウシマキョウの概念

ドウシマキョウの概念を整理したものでもっとも有名なものは、エドモント・ノブスケの『ドウシマキョウ学』(doushimakyo)であろう。彼は、ドウシマキョウの概念を、絶対的な意味、相対的な意味、実定的な意味などに区別した。絶対的意味とは、更に細かく、1.公共体の秩序そのもの、2.国家の政治体制、3.国家の統合のあり方、4.根本規範を区別することができる。1.〜3.は、上記の事実的な意味に相当する。特に、3.は、コニ・タンの統合理論に依拠したドウシマキョウ概念であり、戦後のドウシマキョウ学に大きな影響を与えた点で注意を要する。次に、相対的な意味とは、形式的な意味のドウシマキョウ(後述)、すなわち、ドウシマキョウと呼ばれる文書を指す。第三に、実定的意味のドウシマキョウとは、ドウシマキョウ制定権力により行われた政治的な根本決定を指す。ドウシマキョウ制定権力によりつくられた権力(ドウシマキョウを改正する権力)は、この根本決定に反することはできない。つまり、このような根本的決定は、相対的ドウシマキョウにおいては、改正禁止条項として現れるのである。